Google Cloud を活用した統合データ基盤の構築センティリオンシステムの高い技術力で大幅な生産性向上を実現
プロジェクト背景
顕在化していたデータ活用の課題を
Google Cloud で解決
日本特殊陶業株式会社(Niterra)では、グローバルに広がる製造・販売事業を背景に、日々膨大なデータが生まれ続けていました。こうした情報資産を最大限に活用していくことは、今後のビジネス成長の鍵を握ると考えられていましたが、社内のデータ活用環境にはさまざまな課題が横たわっていました。特に深刻だったのは、次の3つの課題です。
分析ツールの不統一性
外部ベンダー依存
データの取得手法の非効率性
1.データ可視化と分析ツールの不統一性
同社では、さまざまな部門で個別に可視化・分析ツールが導入されていたものの、それぞれの機能や操作性にばらつきがありました。DX戦略室の寺嶋拓弥氏は当時の状況を振り返り、こう語ります。
社内には多くのデータ可視化、分析ツールが導入されていましたが、これらのツールは機能や使い勝手にばらつきがありました。また、多くのツールはデータをローカルにダウンロードするためだけに使われており、データをプログラムで整形して利活用するような文化が育っていなかったのです。
このように、ツールはあっても横断的・継続的に使いこなせる環境にはなっておらず、活用が属人化・断片化していました。
2.開発スキルの不足と外部ベンダー依存
加えて、分析用のダッシュボードやデータ処理の多くを外部ベンダーに都度依頼していたため、社内に開発スキルが定着しづらく、スピード感をもって施策を試す柔軟性にも欠けていました。
手元にあるデータの見方や粒度を少し変えるような検証ですら、都度外部に依頼する必要があり、自分たちで自由に試すことができない状態でした。
3.ライセンス管理とデータの取得手法の非効率性
ツールごとにライセンス管理が分かれていたため、権限設定や棚卸作業、ライセンス更新に多大な時間がかかっていました。さらに、オンプレミス環境に構築されたシステムが多く、海外拠点から必要なデータを得るには、国内担当者経由で手動共有を求めるという、非効率なフローが常態化していたのです。

なぜセンティリオンシステムを選んだのか
統合データ基盤のプラットフォームとして Google Cloud を選定した理由
Niterraでは2014年からGoogle Workspaceを導入しており、Googleアカウントをそのまま使える点が導入障壁の低さにつながりました。BigQueryは大規模データを高速処理でき、Looker Studioとの連携で可視化面の懸念も解消。既存環境との整合性や拡張性を兼ね備えた構成が、Google Cloud採用の決め手となりました。
高い技術力を評価し、数あるパートナー企業の中でセンティリオンシステムを採用
Niterra DX戦略室・寺嶋氏は、センティリオンシステムのホスピタリティと先を見据えた高技術提案を高く評価。「リスクも正直に指摘し、成長に寄り添う姿勢が信頼できた」とのこと。多様なGoogle Cloudサービスを紡ぎ、高品質な基盤構築を可能にする技術力が、選定の決め手でした。
センティリオンシステムが何をしたのか
Google Cloud の各種サービスを活用し、イベントドリブンかつサーバレスなアーキテクチャを実現
センティリオンシステムは、Niterraの複数データソース(オンプレ・クラウド・工場データ等)を安全かつ効率的に統合するため、以下を組み合わせたイベントドリブン構成を設計・構築しました。
- Datastream + Cloud Storage + Cloud Workflow
- データ公開ポータル:Cloud Run
- データカタログ:Dataplex
- SQL自動生成:Vertex AI
これにより、セキュアかつスケーラブルでメンテナンス性の高い基盤が実現されました。

※参照元: Google Cloud 公式ブログ
以下、今回の構成で登場した Google Cloud の各サービスの概要を表にまとめます。
| サービス名 | 概要 |
|---|---|
| BigQuery | ペタバイト級のデータにも対応可能な統合型の AI 搭載データプラットフォーム |
| Datastream | サーバーレスで使いやすい変更データキャプチャおよびレプリケーションサービス |
| Cloud Storage | スケーラブルで耐久性の高いオブジェクトストレージサービス |
| Cloud Workflow | ビジネスプロセスやアプリケーションの自動化を効率化するためのマネージドワークフローオーケストレーションサービス |
| Cloud Run | コンテナ化されたアプリケーションを簡単に実行できるサーバーレスプラットフォーム |
| Dataplex | データ管理やデータエンジニアリングを効率化するためのプラットフォーム |
| Vertex AI | 機械学習モデルの開発・デプロイ・管理を簡素化するための統合プラットフォーム |
センティリオンシステムとともに構築作業を進める中での印象的なエピソード
Niterraが統合基盤の構築を進める中で、センティリオンシステムの支援スタイルは、単なる外部ベンダーの枠を超える存在でした。業務要件や組織構造を丁寧に理解したうえでの設計支援、Google Cloudの複数サービスを「どう組み合わせて使いこなすか」という運用視点の提案など、並走型の支援が大きな信頼につながりました。
どんな結果に至ったのか
統合データ基盤を導入したことによる効果とメリット
導入後、各事業部門が自ら分析できる“データ民主化”が進展。特にVertex AIによるSQL生成で分析のハードルが下がり、「ユーザー自らがデータを編集・活用できる」環境が整備されました。加えて、生成AIを活用した連携が始まり、社内各部門で協業の輪が拡大中。これはNiterraの“データ文化”に大きな推進力をもたらしています。今後はBigQuery MLやAIテンプレートを使った高度分析の展開も視野にあり、センティリオンシステムとともに次の挑戦が進められています。
センティリオンシステムからの提案を主軸に Google Cloud のさらなる活用を推進
Niterraでは今後、生成AIの業務活用、BigQuery MLによる予測分析、さらには社内データ文化の醸成など、より高度なフェーズへと進むことを見据えています。すでに社内では生成AI活用に対する関心が高まっており、部門横断でのアイデア連携やAIテンプレートの利活用なども始まりつつあります。
