ヤマハ発動機株式会社

Google Cloud を活用したデータ分析基盤の構築 / センティリオンシステムの技術力で効率的なアーキテクチャを実現

2024年11月5日

プロジェクト背景Background

顕在化していたデータ活用の課題

ヤマハ発動機株式会社は、クラウドサービスを活用した自動運転の運行管理システムや、運行データを活用した顧客行動の分析など、これまでにもさまざまなシステム開発・データ活用の取り組みを進めてきました。高度なテクノロジーへの理解と実行力を兼ね備えた同社ですが、グローバルに展開する事業規模と多様な製品群を背景に、扱うデータは莫大かつ複雑化しており、次第にその利活用に関する課題が顕在化していきました。具体的には、大きく3つの課題が浮かび上がっていました。

1
データ基盤の役割や
位置づけが不明確

2
コンプライアンスを
担保するための
データセキュリティの不備

3
データ検索・調査の
作業負荷の高さ

1.データ基盤の役割や位置づけが不明確

社内には複数のデータ基盤が存在していたものの、それぞれの役割や位置づけがあいまいで、全社的に統一されたアーキテクチャが存在していない状況でした。そのため、どのデータをどの基盤で扱うべきかが不透明となり、運用ルールの策定やガバナンス体制の整備も追いついていない状態でした。

2.コンプライアンスを担保するためのデータセキュリティの不備

データ活用を進める上では、情報セキュリティや法令遵守を担保したアクセス管理が不可欠です。しかし、当時のヤマハ発動機では、ユーザーごとのアクセス権設定やデータ保護体制が十分に整備されておらず、コンプライアンス上のリスクが内在していました。企業として信頼性の高いデータ活用を進めるには、このセキュリティ基盤の再構築が急務となっていたのです。

3.データ検索・調査の作業負荷の高さ

膨大で多様なデータを保有しているからこそ、それらを実際に活用するまでの道のりが長く、必要なデータを検索・調査するだけでも多くの時間と労力がかかっていました。データ分析の前段階で工数がかかってしまうこの状況は、全社的な業務効率や意思決定のスピードに大きな影響を与えていたのです。このような背景から、ヤマハ発動機では、製品IoTデータや顧客データなどを統合して扱える高性能なデータウェアハウス(DWH)の整備と、それを支える堅牢なデータ分析基盤の構築が求められていました。また、単にデータを処理するだけでなく、分析結果を直感的に「見える化」し、社内でスムーズに共有できるレポーティング機能の整備も、重要な検討項目として位置づけられていました。



なぜセンティリオンシステムを選んだのかWhy We Chose

データ分析基盤のプラットフォームとして Google Cloud を選定した理由

ヤマハ発動機IT本部 デジタル戦略部の佐々木氏によれば、ベンダー比較の結果、Google BigQueryはフルマネージドかつサーバーレスであり、スケーラブルな点が大きな魅力でした。数テラバイト単位のデータ分析でも数秒で処理できる性能に加え、スモールスタートから大規模展開まで一貫して対応できる拡張性が評価され、Google Cloudを基盤として選定しました。

センティリオンシステムが何をしたのかWhat We Did

Google Cloud を活用したデータ分析基盤の構築

センティリオンシステムは、AWS環境で生成されたデータをGoogle Cloudへ取り込み、BigQueryを中心とした分析基盤を構築。さらに、アーキテクチャ整備、データセキュリティ強化、メタデータ管理を3本柱に据えて設計・PoCを実施しました。これにより、基盤としての信頼性と効率性を兼ね備えたシステムが完成しました。

データマネジメントの施策と支援範囲
データ基盤の全体アーキテクチャ

センティリオンシステムとともに構築作業を進める中での印象的なエピソード

佐々木氏は「クイックな情報収集と要点整理で迅速な意思決定が可能になった」と語ります。加えて、目的やガバナンス方針を共有しながら進めることで、複数テーマが並行しても一貫性を保てる構築体制が実現されたと評価されました。

どんな結果に至ったのかResult

データ分析基盤を導入したことによる効果とメリット

基盤導入以降、これまでは部門ごとに閉じていた分析が、共通基盤を通じた横展開により効率的に実施されるようになりました。教育コンテンツや分析ツールも一元化され、データ分析の民主化が進行中です。また、これまで活用が難しかった製品や顧客データも基盤を通じて活用され、企画から開発まで、バリューチェーン全体でデータドリブンな意思決定が可能となりました。